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2015年12月27日 (日)

正教会の祭と、聖職者(教職者)の、日本語と外国語(希・露・英)の対照表

正教会の祭:日本語と外国語の対照(一例)

正教会の祭の、日本語、ギリシャ語、ロシア語、英語での表記の、対照の一例を紹介します。様々な表記の仕方(「我等の主の」「尊貴なる」「至聖なる」といった修飾の有無などによる違い)があり、ここで挙げていますのはあくまで一例で、単語ごとに一対一対応しているとは限りません。

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代表的な正教会の聖堂名表記例:日本語・ロシア語・英語の対照表

Feastorthodox3 ※1 日本正教会における祈祷書に「救世主」「救主(きゅうしゅ)」の二通りの訳語があるが、特に使い分けの規則は見出せない。
※2 Рождественский собор「ロジェストヴェンスキイ・サボール」は、主の降誕を記憶する大聖堂も、生神女の誕生を記憶する大聖堂も、両方に使われる。個別の事例ごとに、正式名称・記憶内容を確認する必要がある。
※3「生神女就寝主教座聖堂」とも訳し得るУспенский кафедральный храм という呼称を持つ聖堂もある。この場合храмであっても「大聖堂」と訳されることがある。
※4 聖堂(храм)は教会建築のみを指し(なおхрамは非キリスト教の神殿・寺社にも使われる単語)、教会(церковь)は組織と教会建築の両方を指す。ギリシャ語(ναός, εκκλησία なおναόςは非キリスト教の神殿・神社にも使われる単語)にも日本語(聖堂、教会)にも使い分けられる単語があるが、英語には一単語で使い分けられる単語が存在しない。以下、собор, храм, церковьごとの変化は割愛する。
※5 他の聖堂名でも(ロシア語・英語を問わず)同様に、様々な表記がある。生神女庇護大聖堂と訳し得る名称・表記としては、ほかにСобор Покрова Пресвятой Богородицы などがある。

正教会の教衆(きょうしゅう・教役者)の各言語対照表

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※1…「エクザルフ」‐総主教の使節としての役割を果たす主教、ないし広い範囲の教区を包括的に指導する主教。府主教・大主教がこの称号を保持していることが多いです。

※2…スラヴ系正教会では府主教が大主教より上位。ギリシャ系正教会では大主教が府主教より上位となり、この表と順序が入れ替わります。

【狭義の教衆】現在の日本正教会では、「教衆」は堂務者のみを指す場合があります。

【叙聖(じょせい)と昇叙(しょうじょ)、着座(ちゃくざ)】輔祭・司祭・主教には聖体礼儀において「叙聖」されること(これを神品機密(しんぴんきみつ)と言います)でその職に就きます。「昇叙(しょうじょ)」とは、輔祭・司祭・主教の枠内で、称号が与えられることです。「着座(ちゃくざ)」とは主教が自分の教区の牧者としての職に就くことです。例:「副輔祭某兄が輔祭に叙聖されました。」「司祭某神父が長司祭に昇叙されました。」「主教某座下が大主教に昇叙されました。」「府主教某座下が○○教区府主教として着座されました。」

【叙聖順】必ず[副輔祭→輔祭、輔祭→司祭、司祭→主教]の順に叙聖されます。

【妻帯有無】教衆は、輔祭に叙聖される前に、妻帯するかしないかを決断しなければなりません。輔祭・司祭までは妻帯可。主教は修道士から選ばれますので必然的に独身です。なお、白教衆が妻と死別してから修道士となり、修道教衆になる(場合によっては主教に選ばれる)事は稀ではありません。

【修道教衆と白教衆】上の表で、総主教から修道司祭までは「修道教衆」、首司祭から輔祭までは「白教衆」と分類されます。教会外の媒体では前者を「黒僧」、後者を「白僧」と呼ぶ事もありますが、これは正確な訳語・用語とは言えません。なぜなら叙聖されていない修道士・修道女も、字面から「僧」「黒僧」の語義に入りそうなものですが、彼らは修道教衆には数えられないからです。

【席順】上の表では便宜上、修道教衆の下に白教衆を置いていますが、「首司祭が修道司祭の下座に位置する」ことはありません。地域によって幾らか相違がありますが、首司祭およびミトラ(宝冠)付の長司祭は掌院と同格とされます。同じもしくは同格の称号を持つ人は、年功順に、奉神礼において立つ位置が決められます。

【謝辞】上記神品・教職者の対照表におけるギリシャ語表記につきましては、数年前に小田原ハリストス正教会のディミトリイ田中神父様に御教示を頂きました。ありがとうございました。

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